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一目惚れならぬ、一聴き惚れ
今日は水曜定休日なので、作業の内容は少しお休みして、最近のトピックスでも書こうと思います。
出会い
去年のお話ですが、オーディオ好きなお客様でハイエンドオーディオ機器のご検討があり、『だったら試聴しに行きますか』とはるばる静岡まで出向いた時のお話です。
前日入りを果たした僕は、翌日来る、しもてぃーとお客様の為に、メーカーのご担当者の方達と打ち合わせを致しました。
イースコーポレーション様はてらっちが開業当時、いろいろなサポート頂いた、命の恩人みたいな会社で、世界中のオーディオ機器を輸入している日本を代表する商社としても有名です。
どんな仕事?
イースコーポレーションは世界のどこかにある、まだ誰も出会ったことのない素晴らしいオーディオ機器を、実際に現地へ出向き触れて聴いて吟味し日本のオーディオファンに届ける仕事をしています。
そんな企業の心臓部と言える試聴室に今回お邪魔させて頂きました。
主にヨーロッパで展開しているハイエンドブランドのスピーカーやアンプ、一部ロシア製のDSPなどがたくさん陳列されており、いろいろな組み合わせの音を確認することが出来る、それはそれは贅沢な部屋でした。
数百万円のモノラルアンプや、
数百万円の2ウェイスピーカーなど…
他にも、カタログでは知っているユニット達がそこにはたくさんあり、ずうずうしくも、いろいろな組み合わせで試聴をお願いしました。
それぞれのキャラクター
お勧めの組み合わせや、超ハイエンドな組み合わせまで、いろいろ試して聴いてみたんですが、一貫していえる事は、【すべて音が違う】でした。
#当り前
これは、当たり前の事かもしれませんが、アンプが変わるだけで、空間のベクトルが、一次元増えたかのような広がりを見せたり、体温や湿度や艶の細部まで感じられる再現力であったり、その個々の能力のぶつかり合いみたいなものまで、生々しく感じる事が出来ます。
もうほんと、格闘技みたいで…
カーオーディオって、普通は『お金がかかるし』とか『音わかんないし』とか、取っつきにくい趣味って感じで、少しどころか結構煙たがられたりするんだけど、ラーメン好きの人とかと実はあんま変わらなくて、やっぱり聴いたことのある人はその良さがわかるんですよね。
#僕もその一人
そんなオーディオの力に魅了された、世界のどこかにいる音の巧達の手によって作られた、スピーカーやアンプ
そんなバチバチの闘いを翌日来る、オーナー様やしもてぃーはどんな反応をするのだろう。
そんな事を考えながら、初日はイースの社長と担当営業と夜遅くまでいつもの居酒屋でお話しました。
#翌日が楽しみ
毎月通った
翌日はオーナー様としもてぃーがお昼にやって来る日。
順調に来てるかなぁと思いながら、泊まりなれた静岡のホテルからイースまで歩いて向かいました。
#目と鼻の距離
実は約12年前、僕はここ静岡に、毎月1週間ほど自走で修業に来ていました。今思うとよく来てたなぁ…と感心するんですが1年ほど通ってたんです。
カーオーディオの基礎を学ぶべく学校がここにあったんですね。そして、2級と1級の資格を取りました。1級は日本に数名しかいませんよ笑
#イーステクニカルトレーニングアカデミー1級資格保持者
お世話になっていたセブンイレブンはコインランドリーに…
向かいのお弁当屋さんはラビットは今も健在!
振り返れば、そこにいつも富士山はそびえてて…
何故か、僕の心には【やって来た】というよりも【帰ってきた】に近い感覚でしたね。
まぁそんなこんなで、午後には二人に合流し、さっそくいろいろなユニットの組み合わせ、いろいろなジャンルの曲を聴いては、各々の感性とユニットから出てくる音楽を照らし合わせていました。
オーナー様の反応も良好で、その表情は驚きを隠せないほど、激しく興奮していました。DSPの購入も即決で、僕も良い商品をお勧めすることが出来一安心…この日二人は一泊するので、終始リラックスモードで聴けていたようです笑
ほっと肩の力も抜け、試聴機から流れる曲に耳を傾けた時、ある事に気付いたのです。
それは僕にとっては二度目の試聴だったはずなのですが…
昨日一足先に試聴した殴り合いのような音と音の個性のぶつかり合いが、全く感じられずまるで一点の曇りもない澄んだ静けさの中、そこにただ音楽が存在するような感覚に気が付いたのです。
『えっ』
『どんな組み合わせ?』
『昨日確認したはずなのに…』
帰路
結局、盛り上がる場の雰囲気を中断するのも申し訳ないと、その真意を確認する間もなく帰りのフライト時間が迫っていたので、そのまま、二人をイースの人達にお任せて、空港へ向かいました。
あの感覚は一体何だったんだろう…
と機内モードにする前に、担当にLINEで『僕が帰り際に試聴していたスピーカーとアンプって何ですか』とメッセージを残し離陸しました。
機内ではタイトスケジュールのせいか、夜の東京を見下ろしながら、『ここじゃ住むの大変そうだなぁ』そのままぐっすりと意識を失って落ちてしまいました。
龍馬空港についたのは最終便の夜8時頃、機内モードオフにすると、LINEに担当営業から1件のメッセージが…
『二人は無事に試聴を終え、ホテルへ帰りました』との事、よかったよかった。
それから数日後、担当者から、『そういや、ごめん、気になっていた違和感のスピーカーとアンプこれだよ』と画像が送られてきました。
そこにはアンモナイトのへんてこなデザインのロゴが入ったアンプと7と刻印されたツィーターと同じくアンモナイトのロゴの入った独特なカラーのコーンを持つスピーカーでした。
注力して聴いていたイメージはあるけどそれ程印象に残っていないスピーカー。特にデザインは個人的に…ダサい。
でも、なぜかあの時、僕の中でずっと気がかりになっていたあの音…
ホっとしていたとは言え 不意討ちもいいとこ、なぜかもう一度あの音を聴いてみたいと…恋心のような 、それは完全に一目惚れならぬ一聴き惚れ
僕は直感を信じないタイプなんですが、こればっかりは一番に『何が大事か』に軸足を置いて考えました。
音楽には不思議な力があり、この職業についた20代の時からその不思議な力を体験し涙した僕にとって答えは簡単でした。
多くの人にこの音を聴いて欲しい。
そう願いつつ、その時の気持ちをいつでも再現できるユニットを即ディスプレイにセットしています。
何が大事かをけっして忘れてはいけない
僕の基準はここにあります。